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「無電解ニッケルメッキ」は、持っている特性が変化する表面処理です。そこで今回は、各特性の違いやおすすめの利用シーン、処理工程についてご紹介します。ぜひ今後の表面処理の選択にご活用ください!
「無電解ニッケルメッキ」は、電気を使わずに薬品の化学反応だけで被膜を作るメッキです。様々な特性があり、自動車、精密機械、電気・電子、食品など、幅広い分野で需要が拡大している表面処理です。
無電解ニッケルメッキの板金部品
特性
「無電解ニッケルメッキ」は被膜のリン含有量によって3種類に分けられます。
実はリン含有量によって特性にも違いがあり、利用シーンに合わせた使い分けが可能です。
各特性の違いを一覧表にまとめました。
分類 | リン含有量 (参考値) |
電気抵抗 | 耐摩耗性 | 耐食性 | 磁性 | はんだ性 | 特性を活かした利用シーン |
---|---|---|---|---|---|---|---|
低リン | 1~4 wt% | △ | ◎ | △ | 〇 | 〇 | 耐摩耗性:バルブ部品など |
中リン | 5~10 wt% | 〇 | 〇 | 〇 | △ | △ | 電気抵抗:電子部品・パソコンケース |
高リン | 11~14 wt% | ◎ | 〇 | ◎ | × | × | 磁性:ハードディスクの下地 |
一覧にある◎〇△×は上記3種類の中で比較した参考値です。
なぜリンの含有量によって特性に違いが出るのか?
メッキ処理の工程を通して、その要因を解説します!
無電解ニッケルメッキの処理工程には、下記の通り大きく6つの工程があります。
被膜のリン含有量は、「4.メッキ処理」にてワークを浸す処理液の種類や浴槽の温度条件などによって変化します。
ムラの原因になるワークについた脂分や汚れ、ごみを取り除き表面処理に適した状態にする
脱脂の際に使用した薬品などを落とす
酸性の溶剤を使用し、汚れや酸化物を除去すると共に金属の表面に凹凸をつけメッキが密着しやすい状態にする
ワークを液に浸し、被膜を作る
メッキ処理に使用した液を洗浄し、表面をきれいにする
洗浄に使用した水分を飛ばし、表面に水滴の跡などがつかないようにする
では、なぜ被膜のリン含有量の違いで、特性も変化するのか?
特性の一部である「電気抵抗」や「磁性」における変化をピックアップし、解説します。
「電気抵抗」や「磁性」の特性が変化する要因は、「被膜構造」が関係しています。
リンが多い場合、リンが不純物となり結晶化が進まず被膜構造は、「非結晶化」の状態になります。逆にリンが少ない場合、結晶化が進み被膜構造は「結晶化」の状態になります。
図1の「非結晶化」の状態では矢印のように電子や磁力がスムーズに流れないため、電気抵抗が高い、非磁性の状態になります。逆に図2の「結晶化」の状態では、電子や磁力はスムーズに流れます。
下記は特性変化の一例ですが、このようにリン含有量によって、同じ「無電解ニッケルメッキ」でも特性が変化します。
が電子・磁力の流れ
「非結晶化」の状態になる
電子・磁力の流れが散乱する
「結晶化」の状態になる
電子・磁力がスムーズに流れる
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