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加工屋さんから穴位置の変更を相談され、仕様変更をした経験はございませんか?実は曲げ近くに穴がある場合、加工方法により穴の変形が起きやすくなるためです。そこで今回は、なぜ変形の恐れがあるのか、また変形を予防するための設計ポイントについて詳しくご紹介します。低コスト・短納期につながるかも!ぜひ今後の設計のご参考にしてみてください!
実際に変形してしまった「曲げ近くの穴」
図1_AとBは、金型で板状のワーク(灰色部分)を曲げる様子を横から見た図です。板金の曲げ加工は、図1_Aのように上から黒い矢印方向に金型を押し当て、力を加え変形させています。その際に板状のワークにかかっている力は、内側は圧縮方向へ、外側は引張り方向へ発生しています(図1_B)。この力は、曲げに近いほど強くなります 。
【図1_A】曲げ加工前
【図1_B】曲げ加工時
曲げと穴がある形状の場合、穴をあけてから曲げ加工を行います。そのため、 穴が曲げの近くであるほど、曲げ加工時に発生する力の影響を受けて形状が変形する可能性があります。(曲げ加工後に穴をあける手順もありますが、物理的に難しい形状の場合や加工工数・高い技術を要するため高コスト、納期が長くなる要因になります)
まずはワークの外側(引張り方向)にかかる力の流れを説明します(図2)。曲げ加工時、ワークの外側は(1)の方向に引張られますが、穴付近では(1)から穴の両側(2)の方向へ力が働きます。
次に、ワークの内側(圧縮方向)です(図3)。曲げ加工時、ワークの内側では(3)の方向に圧縮されますが、穴付近で(3)から穴の中心方向(4)へ力が働きます。
「曲げ近くの穴」は以上のような力の影響で、外側は引張られる方向へ変形、穴の内側から外側方向へめくれて変形する可能性があります。
【図2】穴を曲げの外側から見た図
【図3】穴を曲げの内側から見た図
曲げの近くに穴がある形状で製作したい場合は、 曲げ線上に開口部「逃げ穴」をつくる方法があります。
「逃げ穴」をつくることによって、曲げ加工時にワークにかかる力がどのように変化するのか、まずは、ワークの外側(引張り方向)から説明します(図4)。「逃げ穴」があることで、元の穴の変形要因となる(5)の力が無くなり、(1)の力のみとなります。
次に、ワークの内側(圧縮方向)の力です(図5)。こちらも、元の穴の変形要因となる(6)の力が、「逃げ穴」がある(7)の方向へ逃げることになり、変形を防ぐことができます。
形状や穴種によっては、 「逃げ穴」対策をしない時の「曲げと穴の距離」に比べ、 対策するとその半分近く距離を縮めた位置で、穴の変形を防いで加工することができるようになります 。
【図4】「逃げ穴」を外側から見た図
【図5】「逃げ穴」を内側から見た図
「曲げ近くの穴」の変形を防ぐには、変形の要因となる力を逃すことが重要。
「逃げ穴」をつくる具体的方法をご紹介!
曲げ線上に開口部「逃げ穴」をつくることで、穴の変形を予防することができます。「変形を予防したい穴」へかかる、曲げ加工時の力を「逃げ穴」へ逃すことができるからです。
図1のように、「変形を予防したい穴」を中心軸として、近くの曲げ部(フィレット)に沿った開口部「逃げ穴」をつくってください。また「逃げ穴」は、以下の寸法でつくることを推奨しています。
< 推奨条件 >
【図1】開口幅の寸法
【図2】開口高さの寸法
「逃げ穴」で予防せず「曲げ近くの穴」がある形状の曲げ加工を行った場合、曲げの外側は図3のように矢印方向へ引張られて変形してしまいます。曲げの内側は、図4のように、穴の内側から外側方向へめくれた形になります。
【図3】曲げの外側
【「逃げ穴」なし】
【「逃げ穴」あり】
【図4】曲げの内側
【「逃げ穴」なし】
【「逃げ穴」あり】
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(「曲げ近くの穴」がある形状を「逃げ穴」なしでご希望の場合は、加工可否を確認後、お見積もりを回答させていただきます。)
※掲載情報は2020年12月時点のものです。
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今回ご紹介したコスト削減事例を参考に、形状変更でのコスト比較をぜひ試してみてください。
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