二足歩行ロボットによる格闘技大会である「ROBO-ONE(※)」で優勝経験もある(株)シンプルファイターの近藤様。いろいろなロボットコンテストに出場し、試行錯誤を繰り返す経験が成長へとつながっている様子や、試作にmeviyをどのように活用いただいているのかを伺いました。
(※)ロボットコンテストの一つ。ロボットコンテストは、機械や電気回路、制御の知識を集結させ製作したロボットを競わせる大会で、現在国内外で様々な種類の大会が開催されています。
【さまざまなロボットコンテストに出場して対戦(右側が近藤様と製作したロボット)】
私は自分で製作したロボットで対戦することが学生時代から大好きで、今でもロボットコンテストに参加しています。何度か参加していますが、以前から参加者のほとんどがアルミで製作している点が気になっていました。「軽くて強度が高い」というアルミ素材の特性からよく使用されますが、一方で「選択肢がそれ以外ない」という背景も大きいと思います。出場者のほとんどはNCフライスを所有し自分で加工製作をしていますが、自宅で所有するにはサイズが限られます。所有可能な小さな機械では、アルミしか加工できないものが多く、選択肢がアルミ以外なくなってしまうのです。
【ステンレスとアルミの特性比較】
アルミは加工しやすい一方で、傷つきやすく、変形が起こりやすい素材ですが、ステンレスは強度が高く、また光沢があるため見た目が良いメリットも。それ以外にも、自分が気づけていないロボコンにおける「ステンレス製のメリット」もあるかもしれません。
そこで「全身ステンレス製ロボット」の製作を思いつきました。
自分自身の好奇心とアルミ製ばかりのコンテストの中で出場することで「え?どうやって加工したの?」と絶対聞かれるだろうし注目もされるはず(笑)。
重量など課題はたくさんありましたが、チャレンジとしてはおもしろいのでは…?誰もやっていないことへの挑戦はやる気も出る!やってみよう!と気合いが入り、全身ステンレスのロボット製作の計画をスタートさせました。
私も多くの出場者と同じくNCフライスなどの加工機を所有していましたが、機械を設置する「高いガレージの維持費」と、自分で行う「加工製作の時間」が懸念点でした。
例えば板金部品1つ製作するには、設計、展開図作成、CAMプログラム作成、NCフライスへのセット、バリ取り、曲げ加工までで3、4時間かかります。自分が行う「加工製作の時間」は「開発費」として考えるため、「人件費」がかかっていない感じがしますが、実は自分の作業「時間」もコストなんですよね。
そんな時にmeviyで私が製作した部品が2,000円程度で出来ることがわかり、「高いガレージの維持費」と「加工製作の時間」を、「meviyの2,000円」とで天秤にかけ比べました。個人的には一昨年子供が生まれたこともあり、ゆっくりアルミを削ったりできる状況でもなく(笑)。比較検討した結果、ガレージとNCフライスは手放し、部品製作はmeviyに任せることを決断!自分の時間を確保できる方を優先させました。
【NCフライスを設置していたガレージ】
現在meviyで「全身ステンレス製ロボット」の試作を進めていますが、やはり「重量問題」に直面しています…。meviyはアルミよりステンレスの方が「約1.8倍の差で安い!強度も高い!しかし重たい!」
ヤング率(弾性率)といって強度を表す一つの指標がありますが、ステンレスの方がアルミより3倍大きいことがわかりました。強度が高いことは好都合です。単純計算で考えると、1.5ミリ厚のアルミ板の強度が欲しければ、ステンレスでは0.5ミリ厚でよいはず!
しかし、そう簡単ではなく…ステンレスでの板厚はもっと必要で、思った以上に重量がかさみました。ロボットコンテストでは重量制限があり、例えばROBO-ONEでは3㎏までと決まっているため、「材料の軽さ」は重要な点です。せめてアルミの1.5倍の重量になるような構造、最適な厚さを求めていきたいです。
あきらめてアルミで注文することも可能ですが、コストも高くなるし、何よりおもしろくない!3DCADデータで強度のシミュレーション、形状を変更させて、その都度meviyですぐ確認。この繰り返しで今もまだ試行錯誤中です(苦笑)
【NCフライスを廃棄する前に自作で試作したアルミ部品と、meviyでの製作部品の重量比較】
理論上はうまくいくはずなのに、実際は「うまく行かない」と思うことが、製作途中や試合などでたくさんあります。でもその経験が、改善の材料だと思っています。
例えば、「足がグニャグニャに曲がって走行不能でギブアップ」だったことも。でもそこで「ダメだった」で終わるのではなく、「なぜ曲がってしまったのか?この方向に最初から曲げを入れていたら曲がらないはず。強度計算してみよう!」という感じで再出発します。そこから最初薄い平板だった足を、5ミリ厚の板を切削加工で製作する、という改善を行いましたが、これもそんな「結果」を経験できたからこそ、です。
【足の改善:「平板」から「切削加工」へ】
このように、ロボット製作を通じて幅広い知識と経験が深まっていくので、成長できている実感があります。知識自体は大切ですが、それ以上に自分で製作して知識を使う経験が必要だと感じます。プログラミングも大学で学びはしましたが、実際にコンテストに出る際にロボットを製作した時の方が身についたと思えます。
今はステンレス製のチャレンジの他、「回し蹴り」ができるロボットにも仕上げたい。「ROBO-ONE auto」では「画像処理(カメラを見て判断する情報工学の分野)」も必要なので、それも学んでいきたいです。meviyのみでロボット製作できないかも、試してみたいですね。
次への改善や検証のためのアウトプットの場として、今後もコンテストに出場していきたいと思います!
会社名:株式会社シンプルファイター
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